「僕のだって、事故だよ」

「じゃあその首の包帯は何だよ?」


 桃矢君の言葉に水無君の首元に視線を送ると、襟の間からちらりと包帯が覗いていた。


「わ、私、そんなところに怪我させて、ごめんなさい!」


 やはりはっきりとではないが、その時の光景が浮かぶ。

 段ボールの梱包を解こうとして勢いに任せてカッターを引いたとき、力が余って近くにいた水無君に刃が当たってしまったのだ。


「あ、この包帯は違うよ。むかし火傷したときの(あと)を隠してるんだ」


 水無君は、みんなの視線を(さえぎ)るように首に手を置いた。

 ……よく思い出せないけれど、前にもこんなことがあった気がする。


「――で、でもっ、ありすがみんなに危害を加えたのは事実だ! 俺はハートの女王を処刑してここから出る! まずは一番怪しいありすからだ!」


 そう言って駆け寄ってきた桃矢君に、私は手を掴まれてしまった。


「離してっ!」

「離さない、お前から処刑してやる!」