「あの時ありすはまだ、目覚めてなかったから……放送の最初に言ってたんだよ。『ハートの女王は、あなた達の中に潜んでいます』って……そんなの、信じてはなかったけど」


 咲真のその言葉に、耳を疑った。

 本当に犯人がそんなことを言っていたなんて……。

 しかしそんなの、信じる理由はない。

 ハートの女王は私たちを処刑しようとしている――つまり殺したがっている。

 ここにいるみんな、仲間だと思っていたのに……そんな思いを抱えている人がいるなんて、信じられない。

 けれど、そんなの嘘だと言い切るには、明確な理由がなかった。

 理由がなければきっと、桃矢君は納得なんてしてくれない。


「……ほら、何も言えないだろ? 大体ありす、お前が一番怪しいんだよ!」

「――私が?」


 どうして……私はもちろんみんなを殺したいなんて考えたことすらない。

 それどころかもっと仲良くなりたい、大切な仲間だと思っているのに、何が怪しいというのだろう。