そう言って食事を続ける波多君を見て、みんなは顔を見合わせた。

 ……彼の言うとおりだ。

 気は乗らないが、私も食事をとることにした。

 それを皮切りに、みんなが次々に料理に手を伸ばす。

 きっとおいしいのであろう料理に味は感じない。

 咀嚼(そしゃく)することさえも少し苦痛に感じるが、生きるためなのだからと自分に言い聞かせた。

 大皿の料理が少しずつ減っているのを眺めていると突然、ドアが勢いよく開いた。

 何事かと驚いたが、そこには桃矢君が立っていた。


「何だよみんな、呑気に飯なんか食って……今の状況わかってんのか?」


 桃矢君は信じられないといったような目線をこちらに送ってくる。


「これは、理由があって……」

「ここから出られないんだぞ!? 白羽部長も死んで、どうするって言うんだよ? ハートの女王とやらに首を落とされるのをこうして呑気に待つか? それとも、ハートの女王を見つけて処刑するか? そうだ、それしかないよな、ハートの女王を処刑しないと……!」


 桃矢君は聞く耳を持たずまくしたてた。