このままではいけない、と思った。

 立ち止まっていては、みんなここで死ぬのを待つだけになってしまうかもしれない。


「……みんな、今日はもう、部屋で休もう?」


 しかし、進むための休息も必要だ。

 私の言葉に、みんなは屋敷へと重たい足を引きずって帰った。

 それからしばらくは、自分の部屋で過ごした。

 一人で心細かったけれど、心を落ち着かせるためには必要な時間だった。

 ……今は一体何時だろう。

 時計もなければ窓もないこの部屋では、時間の感覚が失われてしまう。


「ありす」


 ふいに、私の名を呼ぶ声とノックの音が静寂を破った。

 ドアを開けると、咲真が立っていた。

 食堂が開く時間になったからと、私を呼びに来たらしい。

 とても食事をする気にはならないが、みんなで話したほうがいいだろうと言われて、私も行くことにしたのだった。

 ホールの時計は六時を過ぎていて、食堂が開いていることを教えてくれた。

食堂のドアを開く。

するとそこには、きらびやかな食卓。

主張の激しい豪華な料理が所狭しと並べられている。