咲真は、起こったことを正直に二人に話した。

 ……遺体が、半分だけということは言わなかったけれど。


「嫌、嫌……」


 咲真の話を呆然と聞いていた千結は、うわごとのように呟き始めた。


「千結、落ち着いて……!」


 祐奈がなだめようとするが、千結には聞こえていないようで、目を見開いたまま頭を抱え込んでいる。


「嘘でしょ、嘘ですよね、白羽部長……?」


 千結はフラフラとおぼつかない足取りで、白羽部長の傍に寄ってしゃがみ込んだ。

 ……嘘だったら、どんなによかっただろう。

 これが夢で、覚めてしまえばいいのに。

 どんなに願っても叶わないことは、どうしようもないほど理解していた。

 きっとみんなも、千結も頭の奥では、わかっているのだと思う。


「千結……」


 白羽部長に縋りつく千結に、かける言葉が見つからなかった。


「嘘、嘘、嘘……」


 千結はすすり泣きながら、ずっと同じ言葉を繰り返している。

 ――そしてそれから起きたのは、予想していない出来事だった。