白羽部長の半分だけの遺体に、咲真は自分の部屋の天蓋の布を持ってきて掛けた。

 みんなで、手を合わせる。

 ……この場に千結がいなくてよかったと思う。

 ずっと好きだった相手のこんな姿に、耐えられる人なんていないだろう。

 きっと、とても悲しむ。

 それだけでは済まないかもしれない。

 それを思うと、白羽部長が亡くなったという事実を伝えるだけでも心配だった。


「なんで、こんなことになったんだよ……」


 波多君の言葉は、自分を責めているように聞こえた。

 ……誰も、口を開けなかった。

 誰も悪くないし、仕方がない、止めようのなかった出来事かもしれない。

 それでも、白羽部長の突然の死に納得なんてできるはずがなかった。


「みんな、どうしたの?」


 静寂を破ったのは、祐奈の声だった。

 屋敷から、祐奈と千結が出てきたみたいだ。


「……それ、何……?」


 祐奈が顔をしかめながら、白羽部長の遺体に被さる布を指差す。

 所々に血が染みているこれを見れば、誰もが疑問に思うことだろう。


「……二人とも、落ち着いて聞いてほしい」