玄関先で開封すると、やはり同じ文面。


「気持ち悪い……」


 そう、呟いたとき。


「ありす?」


 そんな声がして手紙から視線をずらすと、自転車にまたがった咲真がいた。

 この頃はまだ付き合ってはいなかったが、家が近所のためそれなりに仲はよかった。


「どうしたんだよ、そんな険しい顔して」

「あ……何でもない!」


 慌てて後ろ手に手紙を隠したが、咲真はじっとこちらを見つめる。


「何、隠した?」

「な、何も持ってないよ」

「嘘つくな、絶対何か持ってる。手、出してみ?」


 咲真に問い詰められて、観念した私は手紙を見せることにする。


「実は、これ……」

「何、手紙? しかも何だよ、愛してるって? 誰から?」


 手紙を読んだ咲真はあからさまに眉をひそめ怪訝(けげん)そうな顔をする。


「わかんないんだよね……しかも先週も同じのが届いてて」

「……なんか、気持ち悪いな。大丈夫?」

「あ、うん、大丈夫だよ。他には何もないし」

「ストーカー、じゃないの?」


 考えたくはなかったけれど、咲真が言う通りにそうかもしれない。

 そう思うと、怖くなってくる。

 いつだったか、テレビでストーカー殺人のニュースが報道されていたのを思い出した。