咲真がロープをたわませないように持ち上げている。


「大丈夫かな……」


 心配そうな声を漏らす心を、水無君は背中をさすって励ましている。

 ロープが半分ほど生け垣に飲み込まれた頃だった。


「何してるんだ?」


 屋敷内を見終えたのであろう波多君、恭君、桃矢君が傍に寄ってきた。


「白羽部長が、生け垣を抜けられないかって」

「えっ、大丈夫なのか?」


 恭君が顔をしかめる。

 そんな反応をするのが当たり前だと思う。


「まあ普通に考えて傷だらけになるよね……白羽部長、また無理してるのかぁ。で、そのロープは何なの?」

 それでも桃矢君は、やっぱりあっさりとした反応だった。


「あ、これは白羽部長の部屋にあったらしい。俺らのとこは特に何もなかったんだけど、みんなは?」

「変なものはないよ。カードならあったけど、それはみんなもあったんでしょ?」


 桃矢君が言って、みんな頷く。


「あ、えっと、僕もカード以外何もなかったな」

「俺も」


 恭君に波多君が続く。

 白羽部長の部屋にだけロープがあったのは、犯人の置き忘れだろうか――そんなふうに思いを巡らせたときだった。


「うわああぁっ!」