不快な声がそう言い切った後、ブツリとマイクとスピーカーの接続が切れたような音がした。


「ありす……大丈夫か?」

「うん……でも、何が何だか……」

「俺もわからないけど、文化祭の準備をしているときに意識を失ってここに連れて来られたみたいだな。部活のみんな、全員揃ってるよ」

「そうなんだ……さっきの、その、処刑って……」

 処刑なんて、聞き慣れない単語だ。

 まさか、本来の意味通りに命を奪うなんてことはないだろう――そう思いながら聞いたものの、咲真は何も言わずにふと後ろのほうを指差した。

 指先を視線で追った瞬間、私の考えは甘かったのだと理解した。

 そこには、いわゆるギロチン台が、当然であるかのように堂々とそびえ立っていた。

 青々とした芝の上、晴れ晴れとした空の下、人の命を奪うための器具は陽光を反射してキラリと光り、今見ている景色が爽やかなものであるかのように錯覚する。


「……あんなものが本当に用意されてるんだから、やっぱり、そういうことだろうな」


 伏し目がちで言った咲真の声が、どこか遠く聞こえる。

 さっきのノイズ混じりの声が告げたことに沿うならば、ハートの女王とやらをあのギロチン台送りにしなければならないのだろうか。

 そして、反対にハートの女王は私たちをあれで殺したがっているということだろうか。