「水無、でも……!」

「水無の言うとおり、僕に任せてくれ」


 心が否定したが、白羽部長の中で決心はついているようだった。


「……白羽部長、一度決めたら曲げないですもんね」

「よくわかってるな」


 水無君に、白羽部長は笑いかける。

 確かに、白羽部長はいつも一度決めたらやり通す人だ。

 アリス部だって、否定的だった先生に白羽部長が頼み込んで設立したのだった。

 それを思えば、私たちがいくら言っても無駄だとわかった。

 白羽部長はもう決めている。

 だったら私たちは、それを支えるか、見守るかしかできないだろう。

 咲真と心も考えたことは同じみたいで、それ以上白羽部長を引き留めようとはしなかった。


「じゃあ、いけそうだと思ったらロープを三回引くから、みんなを呼んで辿って来てくれ。もしロープが足りなそうなら、逆に三回引いてくれれば戻って来るよ」


 ロープはかなり長い。

 どれだけ先に行けば生け垣を抜けられるかわからないが、足りなくなることはないと思う。


「わかりました、気をつけてくださいね」


 白羽部長は念のためにとロープを腰に(くく)り付けた。


「じゃあ、行ってくるよ」

「気をつけてください!」


 白羽部長は、私たちの心配の声を背に受け、生け垣をかき分けて向こう側へと消えて行ってしまった。