片手を口元に置いて考え込んでいる様子の白羽部長に、声をかけた。

 水無君と心も私たちに気づき、駆け寄って来る。


「これ、僕の部屋に置いてあったんだよ。ありすと咲真は何かあったか?」

「いや、特に何も……カードならありましたけど」

「そうか……水無と心も、特に何もなかったらしい」


 白羽部長の言葉に、水無君と心は頷いた。


「なんで白羽部長だけ……他のみんなは、どうなんでしょうね?」

「四人以外にはまだ聞いてないからわからないけど……まあ、あるぶんには役に立つかもしれないし、よかったよ」


 ロープの使い道なんて今すぐは思いつかないけれど、白羽部長の言うとおり役に立つときが来るかもしれない。


「それにしても、外には何も無さそうだよね。ここから逃げるにも、あの薔薇の生け垣がどれだけ奥まで続いてるかもわからないし」


 心の言葉に、全員が生け垣を見る。

 薔薇の生け垣はぎっしりと植えられていて、木々の(わず)かな隙間から向こうを覗いても、わかるのはさらに奥まで生け垣が続いているということだけ。

 さらに生け垣は五メートルはありそうなほど高い。

 上から確認できるとしたら屋敷の上階から見るしかないけれど、窓がないからそれも叶わない。


「でもやっぱり、無理をしてでもここを抜けるしか、脱出方法は思いつかないな……」