それにしたって、動機がわからない。

 犯人のことを何も知らないのに動機を探るなんて無意味だと思い、それ以上考えることを放棄した。

 結局、私が気づいたのは引き出しの中のカードとメッセージの存在……それと、部屋のどこにも窓がないということだけだ。

 思い起こせば、音楽室にも廊下にも窓は見当たらなかった。

 窓から私たちが逃げられないようにというのはもちろん、辺りを見渡してここがどこかわからないように、という狙いでもあるのかもしれない。

 庭園からも、生け垣のせいで周囲に何があるかはまったくわからなかった。

 私たちを閉じ込めるために、こんな屋敷をわざわざ用意したのだろうか。

 ……気が触れているとしか思えない。

 どうあれ、これ以上部屋を探索してももう得るものはなさそうだ。

 廊下に出て、一応部屋の鍵をかける。


「ありす、大丈夫だったか?」


 廊下では、既に自分の部屋を見終えた咲真が待っていた。


「うん……咲真は? 何かあった?」

「ああ、部屋にあったのはカードが一枚と、メッセージだな」


 私が見つけたのと同じものだろうか。


「なんて書いてあったの?」