部屋の中はそんなに広くはないものの、アンティーク調の壁紙や照明はおしゃれで、ベッドは小学生のころ夢だった天蓋(てんがい)付きだ。

 先に部屋を見た三人は内装に対しては反応していなかったけれど、見た目に興味がないのだろう。

 喜んでいる場合ではないとわかっていても、お姫様気分になれそうな、憧れのような部屋だ。

 少しだけテンションが上がる。

 水無君の言っていたとおり、部屋の奥の扉を開けると、トイレとシャワーがあった。

 どちらも清潔で、新品のような輝きを放っている。

 ……これが旅行の宿泊先ならいいものの、私たちを閉じ込めておきながらこの待遇の良さは一体何なのだろう。

 犯人の狙いは相変わらずちっともわからなくて、ますます不気味に思う。


「――ま、汚い部屋に閉じ込められるよりはマシかな……」


 そう思うことで無理やり自分を納得させた。

 今のところ、水無君が言っていた通りのものしか見ていない。

 他にも何かないだろうかと、(くま)なく視線を動かすと、テーブルに引き出しがあることに気がついた。

 まさかびっくり箱じゃあるまいし、と躊躇(ためら)いなくそれを引き開ける。

 そこには、一枚のカードが入っていた。