咲真に顔を覗き込まれて、ふと我に返った。


「あ、ご、ごめん! ちょっと考えごとしてて……」


 咲真に心配させたくなくて、あたふたしてしまったが、それすら冷静に見つめられている。


「不安なのは同じだけど、俺が守ってやるから大丈夫。何でも言って、無理すんなよ?」


 ぽん、と頭を撫でられた。

 そんな言葉と共にそんなことをされたら、恥ずかしくてたまらなくなる。

 きっと顔が紅潮(こうちょう)しているであろう私を見て、咲真が小さく笑った。


「じゃあ、みんなそれぞれ部屋を見てみようか。くれぐれも気をつけて」


 そう言った白羽部長の手から、それぞれに鍵が渡される。

 部屋を見た三人ももう一度よく調べると言って、散り散りになった。

 私と咲真も二階の自分の部屋へ向かう。


「いいか、気をつけろよ」

「うん、咲真もね」


 息をのんで、咲真と同時に隣同士のドアを開いた。

 ドアの向こうにはやはり、曲がり角がある。

 恐る恐る歩みを進めると、そこには豪華、という単語がぴったりの部屋が広がっていた。


「わぁ……」


 思わず声が漏れる。