「あ、えっと、水無君の言ったのと同じですね……」

「こっちも」


 そう言って、恭君と波多くんは部屋から姿を現した。


「多分、みんな同じなんだな。ビジネスホテルみたいだ」

「そうみたいだね」


 咲真の言うとおり、まるでホテルのようだと思った。

 各個室にシャワー、トイレが設けられ、一階には食堂が用意されている。

 最低限の生活は保証されているんだな……と安心しかけたが、それが意味することに気づいてしまった。

 少なくとも数日は、ここで過ごすことが想定されている――?

 そう思うと、胸が不安に(むしば)まれていくのを感じた。

 私たちをこんな目に合わせている犯人は、一体何を考えているのだろう。

 考えたところでそんな人の気持ちなどひとつも理解できそうにない。


「ありす? 大丈夫か?」