「んー、綺麗な洋室って感じかな。ベッドとテーブルとイスがある。部屋には誰もいないけど、扉があるよ」


 部屋の様子を伝えてくれる水無君のいつもと変わらぬ口調に安心したものの、まだ少し不安だ。


「気をつけて開けろよ!」


 咲真の声に続き水無君の返事が聞こえて、ドアの軋む音がした。


「あ、シャワーとトイレだ。まあ特に変わったものはないかな……」

「そうか、よかった」


 それから少し経って、水無君が部屋から出てきた。


「水無、よかった、何もなくて」


 心が抱きつくと、彼は困ったように言う。


「大げさだよ、心。ほら離れて?」


 「もう!」と頬を膨らませた心が言われたとおりにすると、恭君が口を開いた。


「ぼ、僕も行ってみるよ、二つ隣だし」

「じゃあ俺も」


 波多君もそれに続く。

 白羽部長は二人に鍵を渡し、隣同士の彼らの部屋の前で待つことにした。


「二人とも大丈夫か?」


 部屋を物色しているであろう二人はなかなか声をあげず、痺れを切らした白羽部長が問いかけた。