「……みんな驚くほどあなたのことを信じていたのに、演技が上手いですね」

「君こそ嘘が上手かったよ、女王殿」


 それから彼は僕と話したくなさそうに、口の端を結んだ。

 ――どうやら嫌われたようだ。

 彼からすれば一年と半年、部員と部長という何とも浅い信頼関係だ。

 こうなることは目に見えていた。

 そして僕からも彼にこれ以上、話すことは思いつかない。

 話が終わりならば、最後に、僕の願いを叶えてもらうことにしよう。


「――水無、最後に一つ、僕からの頼みがある」

「……頼みじゃなくて、命令、のほうが正しいんじゃないですか」


 さすが馬鹿ではない彼は、僕の性格をよくわかっている。

 僕は一度決めたら曲げたくない。

 頼みとは言ったものの、もちろん僕の中では否応問わず決行することは決まっていた。


「君を処刑したい」