「うわぁ……」


 ギイィと重たい音と共に扉が押し開けられて瞳に飛び込んできた光景に、つい感嘆(かんたん)の声を漏らした。

 扉の先はホールのようなひらけた空間だった。

 吹き抜けの高い天井からは立派なシャンデリアがぶら下がっているが、その明かりは薄暗い。

 ホールに面していくつかのドアがあり、左右にはそれぞれ階段が上へと続いている。


「なんか、すごいけどちょっと不気味……」


 心が呟いたその言葉は、きっと誰もが思っていることだろう。

 私の顔が強張(こわば)ったのがわかったのか、咲真が手を握ってくれた。

 こんなときだけど、少しだけうれしく感じてしまう。

 ふいに白羽部長が正面のドアに近づいた。


「食堂、か」


 そのドアには、金属製と思われるプレートが掛けられていた。

『食堂』という文字に続き、『八時~十時、十二時~十三時、十八時~二十時』といった文章が羅列している。


「この時間しか開いてないってことか?」

「でも、時間がわかるものなんて……」


 恭君の言葉にはっとして、制服のポケットをまさぐる。