「どうして……?」


 すべて、水無君のせいだったなんて。

 まだ、心のどこかで信じることができなかった。

 けれど目の前のハートの女王は、少しも悪びれる様子もなく微笑んでいる。


「どうして、って、何が?」


 すべてだ。

 どうしてみんなを殺したの?

 どうしてみんなを騙したの?


「……全部だよ」

「んー、難しい質問だね。無知なありすには初めから教えないとわからないかな」


 この期に及んでもまだ飄々としている水無君が憎らしい。

 その思いを体現するべく、睨みつけた。


「……そんなに怒らないで、ありす。僕は君のことが嫌いでこんなことをしているんじゃないんだから」

「じゃあ、どうして……!」

「君のことが好きだからだよ」


 水無君が何を言っているかわからなかった。

 私のことが好き?

 心の勘違いではなく、本当にそうだったの?

 本当だとしても、どうしてみんなの命を奪う必要があるの?