彼のそんな言葉に、私は何度も頷いた。

 そうだ、私は違う。

 ……けれど、どうして水無君は私を庇うのだろう。

 私を庇えば、咲真は水無君を処刑しようとするかもしれないのに。


「……どうしてそう言い切れる?」

「こんな状況で君が処刑されないってことは、ありすはハートの女王じゃない、そう思わない?」

「だったらお前がハートの女王だな?」


 ……ほら、やっぱり、水無君が疑われる。

 咲真が言って、水無君は笑って、そして次の瞬間、私は耳を疑った。


「そうかもね」


 気づけば水無君の手にはいつの間にか小さい端末のようなものが握られていて――部屋にノイズが響き渡る。


『ハートの女王が処刑を望みました』


その放送は、今までと何ら変わらぬ声で言い放った。