「水無君! 何もなかったの?」

「うん……ありすも?」

「んー……意味の分からないメッセージならあったけど……他は何も」

「メッセージ……意味、わからないんだ?」


 メッセージはおそらく私に宛てたものだったが、『夢から覚めて』の意味はまったくわからない。

 私が頷くと、水無君は一つ、ため息を零した。


『――二人とも』


 咲真の声が響いた。

 真剣な声音で何を言うのかと、じっと耳を澄ませる。


『俺はこれ以上、どうしたらいいかわからない……犯人の元にも、出口がないなんて』


 ……私も同じ気持ちだった。

 逃げ道なんて、本当にあるのだろうか。


『……やっぱり後は、犯人の言葉に従うしかないかな』


 それを聞いて、背筋に冷たいものが走った。

 犯人の言葉に従う――それはつまり。


『ハートの女王を処刑しないとダメなんだ。どっちがハートの女王なんだ?』