それは、正真正銘、咲真の声だった。

 ノイズがかかってはいるけれど、私が一番安心する声。

 ……でもどうして、咲真が放送を。

 疑問に思いつつも、言われた通りに手を挙げた。


『聞こえてるな、よかった。実は昨日からずっと屋敷内を探索してて、やっとこの放送室を見つけたんだ』


 放送室……咲真がそこにいるのなら、犯人はどうしたのだろう。

 水無君も疑問に思ったのか、眉をひそめている。


『犯人は今、気絶してる。ここに来るには食堂のあのドアから来られるけど……』


 食堂のドアといえば、きっと私が配膳用だと思っていたあれだろう。

 事実、仮面たちもそこから出てきていた。


『でも、ここから外へ出る道は見当たらない。そっちで何か変化はないか、探してくれないか? 俺はある程度ならモニターからそっちの様子を見られるから、丸とかバツとか、合図して』


 放送室からは外へ出られない……なら、他に道があるのだろう。

水無君と顔を見合わせ、頷いた。

咲真が犯人の傍にいる以上、だらだらと探し回るわけにはいかない。

手分けして見回ることにした。


「僕はもう一回、屋敷の中を見てみるよ」

「じゃあ私、外を見てくる」


 水無君と別れて、庭園へ向かう。

 屋敷のドアを開けて、思わず、息をのんだ。