「なんでそんなに……普通にしていられるの……?」

「……普通、じゃないよ。僕だって思うところはある。そんなこと気にするなんてありすは優しいね」


 ふと目を伏せた水無君に、少しだけ安堵した。

 ……表に出ないだけなのかもしれない。

 平然としているのは見てくれだけなのかもしれない。

 そうだとしたら、これ以上彼を疑うわけにはいかなかった。

 しかし、地面に転がっている弾丸を視界に捉えて――また、疑問が浮かび上がる。

 さっきの態度は何だったのだろう。

 死ぬ寸前の心に向けた、あの不敵な笑みの理由は。


「まだ何かある? そんなに難しい顔しないでよ」


 ……柔和な笑みを浮かべる彼に訪ねる勇気は出ず、首を横に振って返事をした。


「そっか。……じゃあ僕は少し、部屋で休むよ。あ、よかったらそれ、あげる」


 そう言って、水無君は屋敷のほうへ戻って行ってしまった。

 ――地面に転がる拳銃と弾丸。

 心には渡さなかった弾丸ごと、彼は私にくれると言い残した。

 その理由はわからないけれど……心のことを思うと、どうしても受け取る気にはならなかった。

 拳銃と弾丸を手に取る。

 ……心の元へ、向かう。