私は賛成だった。

 近くにいた咲真、心、水無君も顔を見合わせて頷いている。


「あ、あの……」


 みんなもきっと賛成だろうと思ったとき、千結がおずおずと手を挙げた。

 みんなから注目された千結は、肩をすくませながら、口を開く。


「私……怖いです。何があるかわからない建物に入るの……。ここなら、飛行機が通れば気づいてもらえると思うし、待っていたほうが、その、いいと思います……」


 話す声を段々と小さくさせながら、千結は自分の気持ちを言い切った。

 大人しい千結がこうしてみんなの前で話すのは珍しい。

 それほど、あの屋敷に入ることが怖いのだろう。


「俺も怖いでーす」


 桃矢君が、千結に便乗して手を挙げた。


「犯人が中にいるかもしれないし、どう考えても危険じゃん」


 桃矢君の飄々(ひょうひょう)とした物言いはどうかと思うけど、二人の言うことにも一理あると思う。


「じゃ、じゃあ、行きたい人だけ行くっていうのは?」


 恭君が言うと、それもそうか、とみんなが頷いた。


「じゃ、行きたい奴、挙手」