みんなが頼りにならないなんて、そんなこと思ってはいけない。

 みんなが被害者で、それでも頑張っているのに。

 心にもそれをわかってほしかったけれど、意見がぶつかり合うのが怖くて口に出すことはできなかった。


「ねえありす、私ね」


 いつもの心ではない。

 私の知っている心ではない。

 そう思えてしまうほどに、心は無表情を貫いている。


「何……?」


 恐る恐る訪ねると、心は嘲るように、口の端を吊り上げた。


「水無と別れたよ」


 ……今度こそ、言葉を失った。

 どうして――あんなに仲がよかったのに。

 こんな状況のせいではないのか。

 喧嘩別れではないのか。

 二人にそんな道を辿ってほしくなかった。


「な、んで……?」


 理由なんて聞いていいものかと躊躇ったが、気づけば口を動かしていた。


「なんでだろうね、なんでだと思う?」