……どうしてそんな質問をするのか、わからなかった。

 答えは決まっている。


「可哀想だと思うよ……」

「どうして?」


 ――その問いをしてくることこそ、どうしてか聞きたい。

 聞くまでもなく、千結は可哀想に決まっている。


「だって、あんなふうに殺されて……心は可哀想だと思わないの?」

「思うよ、すごく。すっごく、可哀想。一番可哀想なのは、あんなに好きだった白羽部長を失ったことかな」

「……そう、だよね。私たちもさ、今も白羽部長がいてくれたら、こんなにひどいことにはならなかったかもしれないね」

「……本当。他の男子は頼りにならないし」


 そう言う心の冷たい表情に、一瞬、言葉を失った。

 心はみんなのことをそんなふうに悪く言ったりはしない。

 そう思っていたから、今の心を受け入れられなかった。


「そ、そんな――水無君がいるじゃん! 心のこと大切にしてくれるでしょ? 優しくてしっかりしてるところとかさ、白羽部長にちょっと似てるし!」


 私なりの精一杯の言葉だった。