じゃらじゃらと金属が擦れ合う音を立てながら、白羽部長の手から鍵の束が差し出された。


「鍵……ですね。あの屋敷の……?」


 恭君がみんなの気持ちを代弁した。


「そうだと思う。屋敷の扉の前に置かれていたよ。鍵は全部で十一本ある。一つだけ大きいのが、多分あの入り口の扉のだ」


 白羽部長の視線を追うと、そこは物々しい雰囲気を(かも)し出す屋敷の入り口だった。

 小規模な学校ほどには大きい屋敷だが、一体何階建てなのだろうと見上げ、ふと違和感を覚える。

 何がおかしいのかと考えて気づいたその正体は、窓が一つもないことだった。

 反対側や側面はどうだかわからないが、正面であるこちら側だけだとしてもすべて壁というのは、不自然だ。


「残りがちょうど十本、俺らの人数と同じだな」


 波多君が言って、白羽部長が頷いた。


「残りの十本には、鍵に僕らひとりひとりの名前が刻印されているよ」

「個室が用意されてるってこと?」


 祐奈の問いに、白羽部長は「多分ね」と返した。


「ここで考えていても、きっと答えはわからないと思う。だから、屋敷の中を調べてみようと思うんだけど……どうかな?」