次の日になって、ひとり、咲真を探していた。

 目覚めてから部屋を訪ねても、彼からの返事はやっぱりなかった。

 ……熟睡しているにしても、時間が経ち過ぎている。

 どこか別の場所にいる可能性が高いと思えた。

 食堂は閉まっていたからそれ以外の、屋敷内を見て回る。

 いなくなってしまったみんなの個室は、鍵が開いていた。

 一応、引き出しの底を見て、みんなの『役割』を確認しておいた。

 処刑のときの放送で知ったのは、桃矢君が三月うさぎ、祐奈がダイナ、波多君がイカレ帽子屋だということ。

 確かに、彼らの役割はその通りだった。

 波多君の言っていた、千結が眠り鼠で恭君がトランプ兵だというのもその通り。

 新しく知ったのは、白羽部長は白うさぎだったということ。

 ……ハートの女王は、いない。

 個室はみんな一様に同じ間取りで、特に変わったものは見つけられなかった。

 屋敷内にこれ以上何かあるとは思えない。

 外を探すしかないかもしれない。

 屋敷の扉に手をかけたときだった。


「ありす、何するの?」


 声をかけてきたのは、心だった。

 つい、昨日の様子を思い出して、何となく気まずい気持ちになる。