死にたくないなら、ハートの女王を処刑しなければならない。

 ……本当に、ハートの女王は私たちの中にいるのだろうか。

 恭君はきっと、スペードのトランプ兵で確定だろう。

 咲真は自分はチェシャ猫だと教えてくれた。

 心と水無君はわからないけど――二人のことを疑うなんて、とてもできない。

 心は私の親友で――少しわがままなときもあるけれど、本当は優しくて、私のことを大好きだと言ってくれる。

 水無君は心の彼氏で、咲真と仲がよくて、私にとても親切にしてくれる。

 それに私が思う限りでは、処刑が宣告されたとき、誰もハートの女王であるような素振りは見せなかった。

 桃矢君のとき、みんな食堂にいたはずだ。

 波多君のときも、みんな庭園に集まっていた。

 本当はハートの女王なんていなくて、犯人に踊らされているだけなのではないか。

 そんな仮説が頭の中を占める割合を増していく。

 ……だとしたら、もう、疑ってはいけない。