それから早くも二日。
 私たちを乗せた馬車は、目的地である森林地帯へと辿り着いた。
 話に聞いていた通り土の状態が良さそうで、大きな木々が生い茂っている。
 確かにここなら、一部を農園や畜産に利用できれば食料の生産量は目に見えて増えるだろう。
 そしてここより先は魔物の生息域となるので、馬車を降りての散策となる。

「それじゃあ僕たちは先に進んで、赤蛇(ヴァーミリオン)青蛇(セルリアン)を捜索する。何かあったら【立ち昇る濃雲(クラウド・アライズ)】か【弾ける光球(ポップ・スフィア)】で知らせてくれ」

 数人の開拓兵に馬車を任せて、残りの開拓兵と一緒に私とディルは魔物探しに向かった。
 新鮮な空気に包まれた森の道を歩きながら、開拓兵たちの仕事を後ろから眺める。
 道中の魔物は、開拓兵たちが討伐してくれる。
 私とディルの魔素を温存するためだそうだ。
 さらに開拓兵たちは索敵魔法の【響き渡る魔光(エーテル・ソナー)】を使って、討伐目標の捜索もしてくれている。
 他の魔物たちの警戒もできるため、私とディルは万全の状態で赤蛇(ヴァーミリオン)青蛇(セルリアン)と戦うことができるというわけだ。
 その時、不意に隣を歩いていたディルが、私の顔を覗き込んできた。

「……てっきりまた緊張で顔が強張っているものかと思ったけど、不要な心配だったみたいだね」

「ここまで周りの人にお膳立てしてもらったら、逆になんかやる気が出てきちゃったよ」

 絶対に失敗できない緊張よりも、みんなから力を信じてもらえている事実に気持ちが燃えている。