「みんな揃っているかな」

 私が来てから間もなく、ディルも大広間にやってきた。
 おかげで開拓兵たちの視線がそちらに移って、居心地の悪さが少し薄まる。
 ディルは大広間の奥へ行き、開拓兵たちの視線を一身に浴びながら話を始めた。

「忙しい中、開拓作戦会議の招集に応じてくれて感謝する。今回の作戦も危険を伴うものになるが、助力してもらえると嬉しい」

 開拓兵たちは頷きを見せて肯定的な様子を示す。
 彼らは王国軍からディルについて来てくれた兵たちなので、当然高い忠誠心を持っている。
 反対しようとする人は一人としていなかった。

「では、今からその作戦の概要と日程を伝えようと思うが、その前に一人改めて紹介したい人がいる。ローズマリー」

 唐突に名前を呼ばれて、思わず肩を揺らす。
 開拓兵たちとの顔合わせの場になるから、心得ておいてくれと言われてはいたけど、実際その時になるとやはり緊張してしまう。
 再び周囲から視線をもらってしまい、我知らず息も詰まってしまった。
 けど覚悟を決めて、手招きをするディルの元まで歩いて行き、みんなの前に顔を見せる。
 挨拶の出始めはディルがやってくれた。

「みんなすでに知っていると思うが、彼女がローズマリー・ガーニッシュだ。僕の婚約者で開拓作戦の手伝いもしてくれる。作戦時には行動を共にすることが多くなるだろうから、よく覚えておいてほしい。では次に、ローズマリーの方から挨拶を」

 ディルに丁寧に促されて、私は緊張しながらも自己紹介をする。