「仕事がなかったら、私はただ屋敷でぐーたらしてるだけのダメ人間になるんだけど。それで実家のことを助けてもらってもいいの?」

「それだけ開拓の手伝いが激務で危険を伴うものなんだよ。厄介な魔物を相手にしなきゃいけないし、魔術師として卓越した力も求められる。仕事内容と見返りは充分に釣り合っていると思うけどね」

 そうかなぁ……
 なんかディルに施しを受けているみたいで違和感がある。
 まあ、当人のディルがそう言うなら別に気にしなくていいか。

「それとも何かな。施されているような感じがして気に食わないから、もっと仕事を追加してくれって言っているのかな?」

「言ってない言ってない! やっぱりこの仕事内容でいいよ」

「なら、早く契約書に署名をしてもらっていいかな。まあもしかしたら君なら、開拓の手伝いなんて激務と感じることはなくて、ただのホワイトな職場としか思わないかもしれないけど」

「……あんまり変に買い被らないでよ」

 いくらディルより魔法学校の成績が上で、首席卒業したからって、領地開拓の手伝いをするのは初めてのことなんだから。
 ともあれ契約書への署名を終わらせて、改めて私たちは協力関係を結んだのだった。
 で、今日から私は、ディルと一緒に屋敷での共同生活を始めます。