それを見たディルが、怪訝そうな表情で尋ねてきた。

「何か不満なところでもあったかな?」

「いや、そうじゃなくてさ、これ見る限りだとやっぱり、私って必要な時以外は特に何もしなくていいみたいだけど……」

 開拓における有事の際に、当主ディル・マリナードの指示に必ず従う。
 ということ以外、特筆して何か仕事があるわけではない。
 事前に聞いていた話の通りではあるんだけど……

「本当に私、屋敷にいるだけでいいの? それだけだとなんか罪悪感が……」

「基本的には屋敷に常駐してもらって、いつでも僕からの指示を受けられるようにしておいてほしい。それさえ守ってくれたら、屋敷内ではどう過ごそうが君の自由だよ」

 改めてディルに言葉にしてもらって、私の仕事内容は完全に決まってしまった。
 屋敷に常駐し、有事の際まで指示を待つだけ。
 そして待っている間は屋敷内で自由に過ごしていいという。
 何そのホワイトな仕事内容。