中心部である居館は白を基調としていて、屋根は爽やかな青で仕立てられている。
 敷地内には広い庭園と、話に聞いていた使用人さんたちの宿舎があり、町の中にもう一つ小さな町が出来ているようにも見えた。 
 ここがこれから私が暮らす屋敷かぁ。
 人知れず気分が高揚してしまう。

「屋敷内の案内は、後で使用人にでも頼むとして、まずは応接間へ行こうか」

「応接間?」

「そこで改めて、君がやるべき仕事内容や報酬の確認をしておこう。事前に紙面にまとめてあるから」

 というわけでまずは応接間なる場所へと案内された。
 そこで仕事内容や報酬内容について記された紙を渡される。
 いわばこれは取り引きの契約書だ。

「僕たちはあくまでも取り引きを交わした関係だ。だから一応、その内容を形として残すために契約書を用意した。目を通して問題がなければ署名をしてほしい」

「あっ、うん、わかった」

 確かに仕事と報酬については、まだ具体的な話をしていない。
 後々、言った言わなかったということがないように、ちゃんと形にしておいた方がいいよね。
 というわけで私は、渡された契約書に慎重に目を通した。
 しかし内容を見て、私は思わず顔をしかめてしまう。