「その点、ここにいるパチュリーはなんとも“女らしく”、手芸や舞踊に長けている。また思慮深くもあり、妻として迎えたら献身的に俺を支えてくれると確信できる」

「お褒めに預かり光栄ですわ、マーシュ様」

 パチュリーはマーシュ様の肩に軽くもたれかかる。
 そして密かに私に勝ち誇るような目を向けて、不敵に微笑んでみせた。

「よって俺は、改めてここにいる侯爵令嬢パチュリー・ユイルとの婚約を宣言する。花嫁修業を怠ってきた己を恨むことだな、ローズマリー」

「…………」

 魔法ばかりにうつつを抜かす私に呆れて、自分に相応しい新しい花嫁を見つけた。
 だから婚約破棄、と。
 ……傍から見たら、確かにお似合いの二人だ。
 パチュリーは美しい赤髪と妖艶さを醸し出すスタイルが特徴的で、女子生徒が少ないこともあり、よく男子生徒たちから注目を集めている。
 対して私は凹凸の少ない貧相な体。
 外見的な特徴だけで見ても、妻として相応しいのは間違いなくパチュリーの方だと言える。
 でもだからって、いきなり婚約破棄だなんて、お父様とお母様になんて言えばいいか……