「これからはこうして、自然と恋人らしいことができる。だから僕たちの告白は、とても有意義なものだったと思うよ」

「……い、いきなりそれは、ずるいと思います」

 今度はこちらが顔を赤くさせられる番だった。
 嫌な気はしない、というか、むしろ嬉しかったから別にいいんだけど。
 でもそっか、これからはこうして恋人らしいことができるんだね。
 それならやっぱり気持ちを伝え合ってよかったと思う。
 私たちは婚約者同士であり、ライバル同士であり、そして恋人同士になったんだ。
 改めてそれを実感して胸を熱くさせていると、ディルがおもむろに立ち上がり、余裕のある笑みをこちらに向けてきた。

「ただ、恋人同士になったとはいえ、これからも僕はライバルとして、ローズマリーの上を目指し続ける。気を抜いていたらすぐに追い抜いていくから、それを覚悟しておくといいよ」

「やっぱり相変わらずだね、ディルは。でも私だって負けるつもりはないよ。五階位魔法だってすぐに習得して、完璧にディルを追い抜いてみせる。そっちこそ覚悟しておいてよね」

「あぁ、それでこそローズマリーだ」

 私たちはお互いに決意を示すと、きらめく星空の下で見慣れた笑みを交換したのだった。



 名門の魔法学校を首席で卒業した私、「女のくせに生意気だ」という理由で婚約破棄される おわり