私は俯けていた顔を上げて、ディルをまっすぐに見つめる。
 いきなりのことで驚いたのは確かだ。
 反応に困ってしまったのも。
 だけど……

「気遣ってくれてありがとね。でも全然嫌なわけじゃないよ。それに驚いたのは確かだけど、ディルの告白にびっくりしたっていうより、嬉しい気持ちになっている自分自身に驚いたって感じなんだ」

「嬉しい……?」

 そう、私は今、すごく嬉しいと思っている。
 ディルに好きだと言ってもらえて、嫌な気持ちはまったくなく、むしろとても高揚している。
 だって私は……

「たぶん……ううん、たぶんなんかじゃない。きっと……」

 今度はこちらが、ディルの目をまっすぐに見つめて告げた。

「私も、ディルのことが好き」

「……」

 彼の緋色の目が、大きく見開かれていくのがわかる。
 私は私で顔を燃えるように熱くしながらも、正直な気持ちを明かした。

「あなたは何度も私を助けてくれた。魔法学校の卒業パーティーで庇ってくれて、行き場を失くした私を代わりにもらってくれた。私のことを誰よりも魔術師として認めてくれて、周りのみんなに力を示す機会も与えてくれて、ディルの存在がすごく心の支えになってたの」