「はっきりと意識し出したのは、入学から三年経った頃だったかな。それまでずっと対抗心ばかり燃やしていたのに、気付けば別の意味でローズマリーを目で追っていた。それを自覚した時は、僕自身すごく驚いたものだよ」

 そ、そんなに前から……!?
 今から三年前ということになるから、年齢で言えば十五の時。
 全然気が付かなかった。
 だって学生時代は、廊下ですれ違う度に睨み合っていたから。
 試験の時なんて毎回成績を比べて憎まれ口も叩き合っていた。
 てっきり私は、ずっと嫌われているものだとばかり思っていたのに。
 でもそっか、ディルは学生時代から、私のことを好きでいてくれたんだ。

「いきなりのことで驚かせてしまってすまない。反応に困らせてしまったね」

 俯いて黙り込む私を見て、ディルは申し訳なさそうに言う。

「この告白は返事を期待してのものではないから、どうか重く受け止めないでほしい。ただ僕の気持ちを知っておいてほしかったから打ち明けたことなんだ」

 続けてディルは、私をとても気遣うように言ってくれる。

「勝手に気持ちを伝えておいて言えた立場ではないけど、ローズマリーを人として尊敬し、魔術師として認め、異性として好いている人間が一人いるんだと、それだけわかってくれればいいから」

「……うん、大丈夫だよ」