ディルが、私のことを好き?
 何かの間違いかと思って疑問を抱いていると、ディルはその答えを返してくるように続けた。

「魔法が大好きというだけで、才能や血筋の壁を超えていく君に憧れた。好きなことにひたすら打ち込む純真さに心を惹かれた。魔法に夢中になっている時の可愛らしい姿に目を奪われた」

 偽りなんかではない。
 一言一言を発するディルの顔に迷いはなく、言葉には確かな熱がこもっていた。

「何より君は、僕を初めて打ち負かしてくれた存在で、自惚れていた僕の目を覚まさせてくれた恩人でもある。だから自分の弱さを受け入れて、君のように努力と研鑽に伴った実力を身につけることができたら、この気持ちを伝えようと思っていたんだ」

 それで五階位魔法を習得した今、私に気持ちを伝えてくれたんだ。
 思いもよらぬ告白に、私はなんて返したらいいかわからずに言葉を失う。
 そんな時、口をついて出たのは、一番最初に感じた疑問だった。

「い、いつから……?」

「んっ?」

「いつぐらいから、私のことを……」