「それにしても、こんなに豪華にしてよかったの? まだ森林地帯の復興とか残ってるし、奥地の開拓のための資源も必要で、色々物入りなんじゃない……?」

黒竜(シャドウ)討伐の報奨として多額の資金をもらえたから、そこは心配いらないよ。それにこれだけの贅沢をするくらいの働きを、僕たちはしたと思っているからさ」

 確かに王国最大の災厄と恐れられた魔物を討伐できたわけだからね。
 その魔物のせいで、貴重な資源が大量に眠っているピートモス領の奥地も開拓できなかったわけだし。
 これからその開拓が進んで王国はますます発展を遂げるだろうし、その立役者として多少の贅沢は目を瞑ってもらえるか。
 それに……

「まあ、ディルは三百年現れなかった五階位魔法の習得者にもなっちゃったわけだからね。そのお祝いも兼ねるなら、むしろこれは質素に映るくらいだよ」

 もっと贅沢してもよかったほどだ。
 歴史の文献に名を残せるほどの大業を成し遂げたディルには、たくさんの褒美があっていいと思う。
 せめてもの思いで、私が称賛の言葉を送っておいた。

「改めておめでとう、ディル。五階位魔法の習得なんて本当にすごいよ」

「それを言うなら、君こそだろ」

「……?」

 わたし?
 果たしてディルと並ぶほど称賛されるようなことをしただろうか?
 そう疑問に思っていると、彼がその言葉の真意を話してくれた。