(性質は炎。形状は大玉。【灼熱の球体(フレイム・スフィア)】)

 巨大な火球を撃ち出す火炎魔法。

(性質は爆発。形状は礫。【爆裂する小さな礫(マテリアル・バースト)】)

 大爆発を起こす小石を生成する爆発魔法。
 それを同時に発動させる。
 だがこれでは先ほどと同じで、四階位魔法の複合発動による【小さな太陽(リトル・フレア)】にしかならない。
 きっとまた黒竜(シャドウ)の魔装に阻まれて、傷一つ付けることができないだろう。
 だから、もう一つ――

(性質は風。形状は竜巻。【局所的な旋風(ローカル・ボルテックス)】)

 前人未到の試み。
 四階位魔法の、三つ同時の並列発動。
 二つの四階位魔法の複合だけでダメなら、三つを合わせてさらに火力を引き上げる。
 巨大な火球を撃ち出す火炎魔法と、大爆発を起こす小石を生成する爆発魔法と、小さいながらも強烈な旋風を起こす竜巻魔法。
 巨大な火球と猛烈な旋風を、爆発する小さな礫にすべて収めるイメージ。
 それは炸裂の瞬間にすべての性質を解き放ち、高火力爆発を巻き起こすことができる。

 言葉にするのは簡単だ。
 問題は三つの四階位魔法を同時に使えるかどうか。
 ただでさえ二つの並列発動だけでも高等技術だというのに、さらに魔法を一つ増やすなんて荒技としか言えない。
 当然、前例だってあるはずもなく、人間の手で可能かどうかすらわからない未知の技法だ。
 それでも、私なら……

「くっ……うぅ……!」