開拓作戦の成功を祝して、王都で祝賀会が催されることになった。
 それに参加するために、私はディルと一緒に王都に戻ってきている。

「なんか久々な気がするなぁ。せいぜい四ヶ月ぶりくらいなのに」

 王都の景色を眺めて、ふと懐かしさを感じてしまう。
 魔法学校の学生寮に住んでいた時は、ずっと王都で過ごしていて、これでもかというくらいこの光景を目に焼きつけた。
 そしてたった四ヶ月ほどしか離れていないはずなのに、どうして久々に帰ってきた感じがするんだろう?
 感慨深い気持ちで王都の町並みを見渡していると、隣に立つディルが同じく周囲を見ながら言った。

「それだけ濃密な日々を過ごしていたってことじゃないかな。開拓作戦はどれも過酷なものばかりだったし、魔物と命のやり取りをする機会も多かったから」

「まあ、あれだけ刺激的な日々を送ってたら、体感的には四ヶ月以上経ってる気がするかもね」

 ピートモス領で暮らし始めてから、本当に色々なことがあったからね。
 あまりにもホワイトすぎる環境に感動させられたり、開拓兵の一人に実力を疑われて模擬戦をすることになったり、古くから災厄と呼ばれている大蛇の魔物と戦ったり……
 他にも数々の開拓作戦に参加して、およそ四ヶ月で収まったとは思えない密度の高い日々を過ごしてきた。
 王都の景色を懐かしく感じるのも当然なのかもしれない。

「さて、王都の景色を懐かしむのもいいけど、そろそろ仕立て屋に向かおうか」

「うん、そうだね」

 私は頷いて、ディルと一緒に歩き始める。
 くだんの祝賀会は一ヶ月後に催される予定で、私たちはだいぶ早めに王都に戻ってきた。
 その理由は、仕立て屋でドレスを作ってもらうためである。