あまりにも容赦のない言葉の数々。周りの生徒たちにも自ずと緊張感が走る。
 でも彼の発言は、実際に私が思っていることでもあった。
 それを代わりに言ってくれて、なんだか少しずつ気持ちが晴れていく。
 もしかしてディルは、何も言い返せない私を見かねて、助けに来てくれたってこと?
 いや、さすがにそれはないか。
 ディルはただ、自分が気に食わないと思ったことは真っ向から否定する。そういう性格の奴なんだ。
 次いでディルは、私も知らないような事実を皆の前で明かす。

「第一、君はいつも遊び呆けてばかりだったじゃないか」

「――っ!」

「放課後、ローズマリーは自主的に訓練と勉強に励み、ひたすらに魔法に打ち込んでいた。しかし君はそんな中、授業が終われば学外へ出て、親しい令嬢たちと共に遊び歩いていたそうじゃないか。その彼女たちから社交会の場でよく話を聞いたよ」

 親しい令嬢たちと、遊び歩いていた……
 そんなの全然知らなかった。
 何やら忙しそうにしていた雰囲気はあったけど、まさか裏で別の令嬢と仲良くしていたなんて。
 もしかして新しい婚約者のパチュリー・ユイルと知り合った経緯もそこにあるのだろうか。
 家督の責務で勉学に勤しんでいたなんて、真っ赤な嘘もいいところだ。

「そんな君が、努力家のローズマリーに勝てるわけがないだろ」