告白してフラれたことを言うつもりは
なかったけど、何故だか亮さんには
話さないといけないと思えた。


筒井さんの過去を話してくれたのには
きっと訳があると思うから、
私も正直に伝えたかったのだ。


少しだけ涙が溢れてしまい、
慌ててキッチンに置かれていた
ティッシュで目元を押さえると、
亮さんが頭を優しく撫でてくれた。


『井崎さんなら大丈夫。
 だから支えてあげて欲しい。
 俺も一緒に支えるからさ。』


頑張れって言ってもらえたのは
菖蒲も入れて2人目だ。


私に出来ることなんてないけど、
小さく頷くと涼さんが笑ってくれ
もう一度頭を撫でてくれた。


『よし、サラダも作っちゃおう。
 そろそろ帰ってくると思うから。
 話聞いてくれてありがとう。』


「はい、こちらこそ
 大切なお話を聞かせてくださって
 嬉しかったです。」


私が知ることのできない筒井さんの
過去は、今はまだ聞けないけれど、
いつか話してくれる日が奇跡的に
あるのなら必ずその時は
目を逸らさず聞いてあげたい





『ただいまーー、良い香り』


「お帰りなさい。ご飯いつでも
 食べられますよ?」


時間があったので普通のサラダと、
ミニトマトを生ハムとクリームチーズで
包んだピンチョスも作ってから
テーブルウェアやカトラリーを
並べているとみんながちょうど
帰ってきた。


『腹減ったー。』


『作ってもらったらまず
 ありがとうございますだろ?』


『ありがとうございます亮様。
 おかげで美味しいご飯に
 ありつけます。』


プッ‥‥ほんとにこの人達の
やり取りは面白くて仕方ない。


『あ!霞ちゃん笑っただろ!』

「えっ!?わ、笑ってませんよ?」


追いかけてこようとする蓮見さんから
逃げるように走り回っていると、
リビングに来た筒井さんに突っ込んでしまいそこに蓮見さんも突っ込んできた


『はぁ‥何やってんだよデカい
 子供達は。』


筒井さんから離れたいのに蓮見さんが
離れてくれないから間に挟まれて
身動きが取れない。


『蓮見さーん、何飲みますか?』


『あ、俺ワインかシャンパンに
 しようかなー。』


古平さんに呼ばれると、何事も
なかったように逃げてしまい、
取り残された私はようやく
筒井さんから離れることができた。


「お帰りなさい。
 すいません、痛かったですよね?」


『ただいま。お前こそ平気か?』


鼻をさすりながらも平気ですと
伝えると、さすっていた手を取られ
急に顔をじっと見てきた。


「お前‥‥」


『井崎さんは何飲む?』


「あ、私は酎ハイがあるので、
 それでいいです。すみませんすぐ
 行きます!
 筒井さん?どうかされましたか?」


『ん?ああ‥‥なんでもない‥‥』


何か言いたそうな感じだったけど、
古平さんが準備してくれてたので
急いでキッチンの方へ向かった。