筒井さんは会社では井崎さんって
呼ぶのにオフだと時々お前って
呼ぶようになってきた。


勿論嫌じゃないし、前にも
俺の汚いところを知ってくことに
なるって言ってたからどんどん
私にも素を出してもらえてると
思えばいい気がする


筒井さんも蓮見さんも
古平さんにもお前って言ってたし、
きっとそれが普通なんだと思う。


『お待たせ、ご飯の準備ありがとう。
 やっぱり女子が増えるといいね。』


『亮さん今までは
 料理をやられてましたもんね?』


シャワーを浴び終えた亮さんが
1番乗りにキッチンへ来ると、
炊けていたご飯を確認して
ボウルにご飯をよそった。


「何作るんですか?お手伝いします。」


『ん?これ?焼きおにぎり作ると
 アイツら喜ぶから。』


「焼きおにぎり!いいですね。
 私も好きです。」


引き出しからおにぎりの型を取り出すと
そこにぎゅうぎゅうにご飯を入れて
上から押さえてひっくり返すと
綺麗な形のおにぎりが出来た。


こんな便利なものあるんだ‥‥
休み中に買いに行こうかな。


『おっ、準備出来てるじゃん。
 今年は霞ちゃんいるから
 亮はゆっくり出来そうだな。』


『お前達がやらないからだろ?
 あ、何2本目開けてんだよ?』


「亮さん一緒に飲んでください。
 わたしもおにぎり作りたいので。」


『井崎さんっていい子だね‥‥
 よし、じゃあ俺たちは外で
 焼いたりしてるから、滉一が来たら
 井崎さんも外においで?』


「はい!」


クーラーボックスに氷や保冷剤を
入れそこにビールを入れると
古平さんと3人で材料を
運びながら庭に行ってしまった。


1人2個くらい食べるのかな‥‥

亮さんがやっていたみたいに
ご飯を詰めてからひっくり返しても
上手く綺麗なおにぎりが出てこない。



『フッ‥下手くそ。
 もっとご飯を多く入れてごらん。』


ドキッ


まだ少し髪が濡れた状態で
キッチンに来た筒井さんが、
後ろから私を覗きこみ笑っている。


振り向いた後、顔があまりにも
近くにあったため勢いよく前を向いて
バレないようにまた作り始める


ビ‥ビックリした‥‥


冷蔵庫からビールを取り出して
また飲み始めた筒井さんの横で
ご飯を多めに入れてからギューっと
押すと今度は綺麗なおにぎりが
出来たので嬉しくなってしまう


『サイクリング楽しかった?』


私の隣にまた来ると、
置いてあったカウンターチェアに
腰掛けたあと肘をついてこちらを
見てきた。


ラフなカットソーにスウェットと
シンプルな格好なのに、髪の毛が
セットされず下りているだけで
いつもより若く見えてしまう


「楽しかったです。
 景色も綺麗でしたし、空気も
 美味しくてリフレッシュできた
 気がします。」


『フッ‥。秋にもまたみんなで
 来るからその時も一緒においで。』


「‥‥はい。楽しみにしてます。」


『おい‥‥お前まさか
 ビール飲んでないよな?
 なんでそんなに顔が赤いんだ?』


「の、飲んでませんよ!
 暑いんです、そ、外行きましょ?」


10個目のおにぎりを作り終えると、
これくらいでとりあえずいいかと思い
みんなの方へ筒井さんと向かった。