古平さんも小柄だけど
スタイルがいいから、私だけ
背丈はあるけどなんか‥‥
棒切れみたいな感じ‥‥‥


『こだちゃん達もストレッチしっかり
 した方がいいよー。霞ちゃん
 マウンテンバイク乗れる?』


「学生時代は自転車をよく使ってたので
 大丈夫だと思います。」


蓮見さん達の自転車は本格的な
オフロードタイプの物で、私と
古平さんのはマウンテンバイクだ。


ここに来る前にレンタルして
お店の方が別荘まで
持ってきてくれていたらしい。


色とりどりでなんか可愛いし
運動は嫌いじゃないから嬉しい


『初めてだから無理するなよ?』


ドキン


座って足のストレッチをしていると、
目の前に来た筒井さんがそこに
かがむと私のオデコを人差し指で
ツンッと弾いた


「だ、大丈夫ですよ。
 私、運動好きなのでサークルの子とも
 走ったり沢登りもしますから
 足腰は丈夫だと思います。」


スニーカーなら余裕だけど、
会社で履くパンプスやヒールの方が
どちらかといえば危うい


『ゆっくり自分のペースで走ればいい。
 コースは一本道だけど、帰りが
 この辺りは登りだから最初に
 飛ばすとツラいぞ?古平がいるから
 一緒に楽しめばいいから。』


「はい、ありがとうございます。」


笑って返事をすると、
頭を軽くクシャッと撫でられた。


『はい、そこーー!
 またボディタッチしてたでしょ!』


『は?何がボディータッチだよ。
 俺は頭を触っただけだ。ヘッド!
 お前のはボディーだろ?』


ああ‥‥また始まった‥‥


呆れる亮さんと見慣れてるのか
突っ込みもしない古平さんの2人に
1人で止めるべきか悩んでしまう


筒井さんが触るのは私が子供だから
心配してくれてるだけなのに‥‥


『滉一は井崎さんが気になって
 仕方ないんだよ。』


「えっ!?そ、そうなんですかね‥?
 みなさん大人だから子供みたいな
 考えしか出来ない私を叱って、
 励まして心配してくれてるんですよ」


亮さんとストレッチをしながら
2人を見て楽しそうに笑ってしまう


歳は違うのに仲がいいなんて
お兄さん的な存在なのかな‥‥


『どうでもいい人に叱ったり
 励ますなんて出来ないさ。
 アイツも不器用なとこあるけど、
 なんか前と違って見えるから、
 井崎さんのおかげかもしれない。』


‥‥私のおかげ?

どういうことか分からなかったから
聞きたかったのに、出発時間に
なったみたいで、メットを被ると
マウンテンバイクに跨った


跨った後片足を着いてメットを
装着している筒井さんが素敵すぎて
見ているだけでドキドキしてしまう


『じゃあ俺たちは先に行くから、
 12時くらいまでには戻る。』


サングラスをかけた筒井さんが
こっちを見て手を上げたので、
古平さんと手を振り見送った


『さ、私達も行こう。
 20キロは無理だけど、湖の周り
 走ると気持ちいいから着いて来れる
 ペースで着いてきて?』


「はい!」