『ちょっと!霞どうしたの?その目!』


面談が終わった後、そのままトイレで
少し顔を直したけど、目は腫れたままで
菖蒲を心配させてしまった


仕事を終えてから2人で晩御飯を
近くで食べながら1ヶ月間の
小さなお疲れ様会をしていたのだ


普段はあまりお酒は飲まないけど、
GWに入る前だし、
なんとなくお酒が飲みたくなり2人で
乾杯をしてから食事を楽しんだ



「総務課の好評聞いたら
 嬉しくて泣けちゃったんだ。菖蒲は
 そのまま企画部にしたの?」


『うん、厳しいし残業もあるけど、
 やりがいが欲しかったから
 継続希望したよ。』


他の同期もみんな継続で、他の部署を
選ぶ人は1人もいなかった。


それくらい今の会社はいい人たちに
恵まれているのだなと思えてしまう


『それより、霞って筒井さんのこと、
 もしかして気になってる?』


「えっ?ゴホッゴホッ‥な、なんで?」


ビックリして飲んでいたお酒を
吹き出しそうになり、むせてしまう。


『んー?なんとなくかな‥‥。
 目が恋してるっていうか
 そういうのって無意識に
 しちゃうじゃない?
 だからそうかなって。』


私‥そんな顔しながら働いてるの?


思わず恥ずかしくなって
両手で顔を覆ってしまう


蓮見さんにも似た感じのこと言われたし、このままだとまずい気がする。


「じ、実はね‥ここの会社に入る前に
 筒井さんに告白したんだ‥‥。」


『えっ?元々知ってたってこと!?』


筒井さんがバイト先に来てくれていた
お客様だったこと。
傘を貸したお礼に
ネックレスをもらったこと。


そして告白した時に、
私が傷つかないように優しく笑顔で
接客を褒めてくれたことを
菖蒲に少しずつ話した。



『でもそれって付き合えないとは
 言われてないってことだよね?』



えっ?


そう言われるとそうかもしれないけど、
優しい筒井さんが濁してくれたって
ずっと思って過ごしてきた。


『霞はさ‥まだ好きなんでしょ?』


「‥‥‥‥うん。
 でも‥‥よくわからなくなった。」


割り切って会社では接するつもりだし、
叶わないから諦めた初恋だった。


大人の対応で接してくれた筒井さん
だからこそ、私も普通に
接したいって思ってる。


でも、車で送ってくれたり、
面談の時に優しくしてくれたりと、
部下に当たり前にしていることなのかもしれないけど、どんどん知らない
筒井さんを知る度に、あの時とは
違うもっと大きな気持ちを
抱いてしまっている気がする。


『想うだけなら誰にも関係ないよ。
 私は霞がこういうこと話してくれるの
 嬉しいしね。』


菖蒲‥‥


ご飯を食べ終えた私は、
菖蒲と別れてから
駅に向かって歩いていた。


GWは実家といっても近いんだけど、
お母さんと妹が住む家に帰るつもりだ。
明日はとりあえずゆっくり寝て
掃除でもしようかな‥‥


『お疲れ様。』

えっ?