『はぁ?嫌な時もそりゃありますよ。
 蓮見さんはお酒が強いから
 ついていけないんですよ。
 男性社員と行ったら
 いいんじゃないです?』


古平さん‥‥


蓮見さんが
一期上の先輩でも上司でも容赦ない。


でもなんとなく蓮見さんって
真面目に受け答えしてても
話しが終わらなさそうだからみんな
こうなってくのかもしれない気もする


『俺と2人が気まずいなら?
 筒井も呼ぶ?
 それで霞ちゃんも
 誰か誘ったらいいよ。
 うん、我ながらいい案!
 筒井に声かけてこよーっと。』


「えっ?ちょっと‥えっ!?‥」


筒井さんも!?


私が驚いた顔をしてると、蓮見さんと
目があった途端ニヤリと笑われた


『あーあまた始まった‥‥。いつも
 男女問わず飲みに誘うんだよね。
 でもあの人なりのコミュニケーション
 なんだ。総務課が仲良いのは
 蓮見さんのおかげでもあるから。』


「そうなんですか?確かにみんなに
 分け隔てなくって感じですが‥‥」


『でも仕事になると厳しいからね?』


ドキン


コクコクと2回頷くと
今になって焦ってきた


本当に筒井さんを誘いに行ったのかな‥
どうしよう‥‥
私1人じゃ間がもたない‥


帰る準備をしていると、
スマホがタイミングよく
ライ◯の通知を知らせてくれて
開くと菖蒲からだった


【霞、お疲れ様。
 この後疲れてなかったら
 ご飯行かない?
 もう今日作るの面倒で。】


なんてナイスタイミングで
同期からのメールを
受信してしまったのだろう‥‥


蓮見さんに見られる前に断らないと


『あっ、ごめん見えちゃった。
 霞ちゃん意外に動くの早いね?
 そんなに俺らと行きたかった?』


えっ?


返信しようとしていたら、
いつの間にか後ろに立っていた
蓮見さんに覗き込まれて
またニヤリと笑われる


「な、何言ってるんですか?
 違いますから。」


金曜の夜ということもあり、
他の社員さんもバタバタと急ぎ足で
帰るのを手を振りながら
見送る蓮見さんから慌てて離れた



『でもいいの?
 ‥‥筒井も行くのに。』


えっ?


『霞ちゃんとご飯に行くって言ったら、
 俺も行くだってさ?どうする?』


どうするって言われても‥‥


『井崎さん、
 美味しいご飯奢ってもらったら
 さっさと帰ればいいよ。2人ともお酒
 強いから付き合ってたら
 日付変わるし無視して帰って?
 じゃあ私もお先でーす。
 井崎さん来週もよろしくね。
 蓮見さんくれぐれも
 ほどほどにしてあげてくださいね。』


「古平さんお疲れ様です。
 ありがとうございました。」



パソコンの電源を落とした後、
古平さんがうーんと伸びをし
フロアから出て行ってしまった。


『さ、て、と、
 俺も残りの仕事片付けるから
 霞ちゃんそこで少しだけ待ってて。
 そのお友達も誘っていいからね。』


「えっ!!蓮見さん!?」