アルバイトしか経験がない私には
かなりのプレッシャーを
すでに感じてしまう


入ったばかりで会社の顔になる場所に
自分が立ってやっていけるのかとても
不安で仕方ない



受付の制服は
業務が終わったらランドリーBOXに
入れておくと
業者が回収してくれるので、
着替え用に2セット
ロッカーに入れられていた。


『早速掃除をしようか。
 これが終わったら私は上に戻るから、
 あとは山崎さんたちに
 バトンタッチかな。』


「‥あの‥‥‥私‥本当に受付で
 大丈夫でしょうか?」


言うつもりはなかったのに
ポロッと溢れた無責任な
自分の言葉に慌てて口元を隠す


「すいません、まだやってもないのに、
 弱音が出ました。
 でも本当に不安です。」


山崎さんも佐藤さんも優しくて
品があり会社の顔として凛として見えた


でもその会社の顔というキーワードが
やっぱり重くのしかかり表情が
重くなってしまう


笑顔で落ち着いた対応が今の私に
出来るのか想像もつかないのだ


『誰でも最初は一年生!!でしょ?』


こ、古平さん?


『私も4年前は毎日泣いたし、
 こんなとこ辞めてやる!!って
 思ったことなんて数えきれないけど
 一つひとつの失敗を
 繰り返してきたから今成長出来た。
 だからそうね‥‥やってみないと
 分からないから、まずは
 やってみてダメだったら
 その時また相談に乗るよ?
 私も蓮見さんもあとは
 筒井さんもみんないるから。』


鼻の奥がツーンとなり、
今にも泣きそうな目頭に
ぐっと力を入れて堪えると
次の瞬間背中をパンっと叩かれて
ビックリしていると古平さんが笑った


誰でも最初は一年生‥‥

よく聞くフレーズだけど、
なんかすごく安心してホッとする。


みんな最初は出来なくても、過程を得て
今ああして働いているのだから、
私も来年までに少しでも
いい過程も悪い過程も
経験してけばいいんだ‥‥


そして悩んだらこうして頼れる先輩に
ちゃんと相談しよう。


「ありがとうございます。」

『よし、いい顔!じゃあ行こうか。』

「はい!」


その後、植物の世話の仕方や、
フロントで使う備品がある地下に行ったりして、古平さんから山崎さんへ
バトンタッチした。


『口で説明出来ることと、
 実際見て実践して
 覚えていくことに分かれるから、
 電話応対や来客対応を見ながら学ぶと
 分かりやすいと思うよ?
 あとここのパソコンで、全ての課の
 来客予定、会社名と訪問者様の名前、
 性別、特徴が10分刻みで分かるよう になっているの。色々な部署から、
 会議室の予約が入ることもあるから、
 電話が来たら会議室の空きと何人での
 利用なのかを入力すること。』


話を聞きながらも必死でメモを取り、
山崎さんと佐藤さんの話に耳を傾ける。