私が告白したことなんて
蓮見さんには関係ないし、
ここでは上司と新入社員という
こと以外私達には本当に何もない


『筒井が仕事中にあんなに素を出して
 突っかかってきたのが意外だから、
 君が特別なのかな?って』


「それは違いますよ‥‥あ、コピー
 終わりましたので失礼します。」


丁寧にお辞儀をすると、その場から早く
離れたくて横をすっと
通り抜けようとした



『霞ちゃん、
 親友だから分かるんだよね?
 同期の変化ってやつを。
 じゃ、残りの業務も頑張ってねー』


「‥‥‥‥」


頭を撫でられると笑顔で
フロアの方へ行ってしまう蓮見さんを
ただただそこから動けず見送る


何処か寂しそうな、
でも嬉しそうな顔にも
見える笑顔は
一体どういう意味をもたらすのか
よくわからない



「コピーから戻りました。」


『ありがとう。
 少し休憩してきていいよ。
 15分くらいで大丈夫?』


「えっ?大丈夫です。」


『頑張りすぎるともたないよ?
 甘いものでも飲んでおいで。
 また戻ったら
 17時まではノンストップだから。』


古平さん‥‥


素直にお礼を伝えてから頭を下げると、
財布を持ってフロアに
備え付けられている
リフレッシュスペースに向かった


色々な種類の自販機はペットボトルから
コップタイプのものまで様々で、
頭を使いすぎた私は
甘いカフェオレのボタンを押した。


こんな時間に休憩してる人なんて
いるはずもなく、なんだか
申し訳ない気持ちにもなるけど、
ここで一旦気持ちを整えて
後半も頑張ろう



『休憩?』


ドクン


なんでこんなに
筒井さんに会うのだろうと思うけど、
同じフロアだから仕方ないよね‥


仕事として割り切るって決めたし、
普通に接してくれてるだけありがたい。


「お疲れ様です。古平さんに休憩を
 いただきました。」


立ちあがろうとすれば
それを手で制され、あろうことか、
同じ丸テーブルの椅子に
筒井さんも腰掛けた。


『総務課で頑張れそうか?』


もう話し方は私の知ってる
オフの時とは違うけど、
表情だけは穏やかで変わらない


「はい、頑張れます。古平さんも
 蓮見さんも話しやすいので‥‥その
 ‥‥ありがとうございます。」


『困ったことがあったら、部署は
 違うけど、相談にはのれるから、
 蓮見が空いてない時は
 言って欲しい。』


少し覗き込むような体制で私に近づいて
きたので、緊張して体が固まってしまう


こんなに近くで筒井さんのことを
見たことがないけど、
やっぱり顔立ちが
とても整っていて綺麗だ


「あ、ありがとうございます。」


買ったカフェオレも飲めないほど
緊張していると、私の顔を見て
何故か嬉しそうに綺麗な顔が笑った


筒井さんのこの笑顔を見るの
2回目だ‥‥